副腎シンチグラフィーは、まず副腎皮質シンチグラフィーと副腎髄質シンチグラフィーに分けます。ここが決まると、薬剤・疾患・前処置・撮像時期まで一気に整理できます。
| 分類 | 代表薬剤 | 対象 | 一言で覚える |
|---|---|---|---|
| 副腎皮質 | 131I-アドステロール | クッシング症候群、原発性アルドステロン症、副腎皮質腺腫 | 皮質=ステロイドホルモン=コレステロール類似体 |
| 副腎髄質 | 123I-MIBG、131I-MIBG | 褐色細胞腫、神経芽腫、傍神経節腫 | 髄質=カテコールアミン=ノルアドレナリン類似物質 |
迷ったときは、皮質=アドステロール、髄質=MIBGです。画像問題でも、この対応だけでかなり解けます。
副腎は外側の皮質と内側の髄質で働きが違います。
副腎皮質はステロイドホルモン合成にコレステロールを使うので、コレステロール類似体のアドステロールが集積します。副腎髄質はカテコールアミン系なので、ノルアドレナリン類似物質のMIBGが集積します。
131I-アドステロールはコレステロール類似体です。副腎皮質ではステロイドホルモンを作るためにコレステロールを利用するので、副腎皮質に取り込まれます。取り込まれた後は、それ以上代謝されにくいと整理します。
7日後に撮像する理由は、副腎皮質への集積がゆっくりで、投与直後は血液中・肝臓・腸管などの背景が高いからです。数日待つことで背景が下がり、副腎とのコントラストが良くなります。
131Iは半減期が約8日と長いため、投与後もしばらく遊離ヨウ素が甲状腺へ取り込まれる可能性があります。そのため、甲状腺ブロックの期間が長めになります。
MIBGはメタヨードベンジルグアニジンで、ノルアドレナリンに似た薬剤です。副腎髄質細胞ではクロマフィン貯留顆粒に、交感神経終末ではカテコールアミン貯蔵顆粒に集積します。
副腎部に強いMIBG集積や左右差があれば、褐色細胞腫などの副腎髄質系病変を疑います。神経芽腫では、原発巣や転移病変の評価にMIBGが重要です。
どちらもMIBGなので、基本的な対象は副腎髄質・交感神経系の病変です。ただし、核種の性質が異なるため、検査での使いやすさが違います。
| 項目 | 123I-MIBG | 131I-MIBG |
|---|---|---|
| 投与量 | 200〜400 MBq | 20 MBq |
| 半減期 | 約13時間 | 約8日 |
| 撮像時期 | 投与1日後 | 投与2日後 |
| γ線エネルギー | 約159 keVで撮像しやすい | 約364 keVで高エネルギー、画質・被ばく面で不利 |
| 検査での使い方 | 診断用として使いやすい。SPECTにも向く。 | 診断にも使えるが、半減期が長く被ばくが大きい。治療への応用も関連する。 |
整理すると、診断では123I-MIBGの方が画質が良く扱いやすいと考えます。一方、131I-MIBGは半減期が長く高エネルギーで、被ばくは大きくなりますが、治療とのつながりもある核種です。問題では、投与24時間後に撮影する薬剤=123I-MIBG、投与2日後=131I-MIBGとして問われやすいです。
服薬中止は自己判断では行いません。特に褐色細胞腫では血圧管理薬を使っていることがあり、主治医の判断で中止・継続を決めます。
ここは混同しやすいので、かなり大切です。
| 処置 | 目的 | 代表例 |
|---|---|---|
| 甲状腺ブロック | 甲状腺に放射性ヨウ素を集めたくない | 副腎皮質シンチ、副腎髄質シンチ |
| ヨード制限 | 甲状腺に放射性ヨウ素を集めたい | 甲状腺シンチ、放射性ヨウ素内用療法、甲状腺癌の131I全身シンチ |
副腎シンチでは目的臓器は副腎です。甲状腺に放射性ヨウ素が集まると不要な被ばくになるため、甲状腺ブロックを行います。
| 疾患 | 領域 | 薬剤 | 所見・考え方 |
|---|---|---|---|
| クッシング病 | 副腎皮質 | 131I-アドステロール | 下垂体ACTH過剰により両側副腎皮質が刺激され、両側集積亢進を考える |
| 副腎皮質腺腫によるクッシング症候群 | 副腎皮質 | 131I-アドステロール | 患側集積亢進、ACTH抑制により健側集積低下または無集積 |
| 原発性アルドステロン症 | 副腎皮質 | 131I-アドステロール | 患側集積亢進、健側正常集積。デキサメサゾン負荷が関連する |
| 褐色細胞腫 | 副腎髄質 | 123I-MIBG | カテコールアミン産生腫瘍。MIBG集積を考える |
| 神経芽腫 | 交感神経系 | 123I-MIBG | 交感神経系由来の小児腫瘍。原発巣・転移検索にMIBGが有用 |
画像問題では、画像の集積部位だけでなく、薬剤名・撮像時期・正常集積部位をセットで読みます。
今回の画像問題では、右副腎腫瘍の全身像はMIBGの正常集積を手がかりにします。I-アドステロール投与7日後の腹部後面像は、副腎皮質疾患としてクッシング症候群を選ぶ流れです。