副腎シンチグラフィー暗記クエスト

北島先生からの挑戦です
アドステロール・MIBG・甲状腺ブロック・クッシング症候群・褐色細胞腫を反復する72問トレーニング
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事前学習

北島先生からの挑戦です

1. 最初に分ける:副腎皮質か、副腎髄質か

副腎シンチグラフィーは、まず副腎皮質シンチグラフィー副腎髄質シンチグラフィーに分けます。ここが決まると、薬剤・疾患・前処置・撮像時期まで一気に整理できます。

分類代表薬剤対象一言で覚える
副腎皮質131I-アドステロールクッシング症候群、原発性アルドステロン症、副腎皮質腺腫皮質=ステロイドホルモン=コレステロール類似体
副腎髄質123I-MIBG、131I-MIBG褐色細胞腫、神経芽腫、傍神経節腫髄質=カテコールアミン=ノルアドレナリン類似物質

迷ったときは、皮質=アドステロール、髄質=MIBGです。画像問題でも、この対応だけでかなり解けます。

2. 副腎の解剖生理:ホルモンと薬剤が対応する

副腎は外側の皮質と内側の髄質で働きが違います。

  • 副腎皮質:コルチゾール、アルドステロン、アンドロゲンなどのステロイドホルモンを分泌します。
  • 副腎髄質:アドレナリン、ノルアドレナリンなどのカテコールアミンを分泌します。

副腎皮質はステロイドホルモン合成にコレステロールを使うので、コレステロール類似体のアドステロールが集積します。副腎髄質はカテコールアミン系なので、ノルアドレナリン類似物質のMIBGが集積します。

3. 131I-アドステロール:副腎皮質を見る薬剤

131I-アドステロールはコレステロール類似体です。副腎皮質ではステロイドホルモンを作るためにコレステロールを利用するので、副腎皮質に取り込まれます。取り込まれた後は、それ以上代謝されにくいと整理します。

  • 投与量:18.5 MBq
  • 対象:クッシング症候群、原発性アルドステロン症、副腎皮質腺腫、副腎皮質過形成など
  • 撮像時期:基本は投与7日後
  • 追加撮像:必要に応じて3日後、5日後、10日後
  • 撮像方向:副腎部を背側・後面から撮像
  • コリメータ:131Iは約0.346 MeVなので、高エネルギー用コリメータを用いる

7日後に撮像する理由は、副腎皮質への集積がゆっくりで、投与直後は血液中・肝臓・腸管などの背景が高いからです。数日待つことで背景が下がり、副腎とのコントラストが良くなります。

4. 131I-アドステロールの前処置と注意点

  • 甲状腺ブロック:投与前日から投与後7日まで行う。
  • 下剤:撮像前日に投与し、腸管内容物や腸管内放射能を減らす。
  • 浣腸:撮像前に行い、副腎周囲の背景を減らす。
  • 急速静注は避ける:油性製剤であり、急速投与は副作用の原因になる。
  • 副作用:エタノールを含むため、顔面紅潮、動悸、頭痛などが起こることがある。
  • 注意:ヨード過敏症、妊婦、18歳未満などでは慎重に考える。

131Iは半減期が約8日と長いため、投与後もしばらく遊離ヨウ素が甲状腺へ取り込まれる可能性があります。そのため、甲状腺ブロックの期間が長めになります。

5. MIBG:副腎髄質・交感神経系を見る薬剤

MIBGはメタヨードベンジルグアニジンで、ノルアドレナリンに似た薬剤です。副腎髄質細胞ではクロマフィン貯留顆粒に、交感神経終末ではカテコールアミン貯蔵顆粒に集積します。

  • 対象:褐色細胞腫、神経芽腫、傍神経節腫など
  • 正常集積:心筋、肝臓、脾臓、唾液腺、腎臓〜膀胱
  • 正常像で心筋が見える理由:心臓の交感神経終末にMIBGが取り込まれるため
  • 正常副腎髄質:平面像でははっきり描出されないことが多い

副腎部に強いMIBG集積や左右差があれば、褐色細胞腫などの副腎髄質系病変を疑います。神経芽腫では、原発巣や転移病変の評価にMIBGが重要です。

6. 123I-MIBGと131I-MIBGの使い分け

どちらもMIBGなので、基本的な対象は副腎髄質・交感神経系の病変です。ただし、核種の性質が異なるため、検査での使いやすさが違います。

項目123I-MIBG131I-MIBG
投与量200〜400 MBq20 MBq
半減期約13時間約8日
撮像時期投与1日後投与2日後
γ線エネルギー約159 keVで撮像しやすい約364 keVで高エネルギー、画質・被ばく面で不利
検査での使い方診断用として使いやすい。SPECTにも向く。診断にも使えるが、半減期が長く被ばくが大きい。治療への応用も関連する。

整理すると、診断では123I-MIBGの方が画質が良く扱いやすいと考えます。一方、131I-MIBGは半減期が長く高エネルギーで、被ばくは大きくなりますが、治療とのつながりもある核種です。問題では、投与24時間後に撮影する薬剤=123I-MIBG投与2日後=131I-MIBGとして問われやすいです。

7. MIBGの前処置と注意点

  • 甲状腺ブロック:投与3日前から撮像終了まで行う。
  • 撮像前排尿:MIBGは尿中排泄され、膀胱が強く描出されるため、骨盤部病変や被ばくの点で重要。
  • 服薬確認:三環系抗うつ薬、レセルピン、ラベタロール、カルシウム拮抗薬、交感神経作動薬などはMIBG取り込みを妨げることがある。

服薬中止は自己判断では行いません。特に褐色細胞腫では血圧管理薬を使っていることがあり、主治医の判断で中止・継続を決めます。

8. 甲状腺ブロックとヨード制限の違い

ここは混同しやすいので、かなり大切です。

処置目的代表例
甲状腺ブロック甲状腺に放射性ヨウ素を集めたくない副腎皮質シンチ、副腎髄質シンチ
ヨード制限甲状腺に放射性ヨウ素を集めたい甲状腺シンチ、放射性ヨウ素内用療法、甲状腺癌の131I全身シンチ

副腎シンチでは目的臓器は副腎です。甲状腺に放射性ヨウ素が集まると不要な被ばくになるため、甲状腺ブロックを行います。

9. 疾患ごとの所見整理

疾患領域薬剤所見・考え方
クッシング病副腎皮質131I-アドステロール下垂体ACTH過剰により両側副腎皮質が刺激され、両側集積亢進を考える
副腎皮質腺腫によるクッシング症候群副腎皮質131I-アドステロール患側集積亢進、ACTH抑制により健側集積低下または無集積
原発性アルドステロン症副腎皮質131I-アドステロール患側集積亢進、健側正常集積。デキサメサゾン負荷が関連する
褐色細胞腫副腎髄質123I-MIBGカテコールアミン産生腫瘍。MIBG集積を考える
神経芽腫交感神経系123I-MIBG交感神経系由来の小児腫瘍。原発巣・転移検索にMIBGが有用

10. 画像問題での見分け方

画像問題では、画像の集積部位だけでなく、薬剤名・撮像時期・正常集積部位をセットで読みます。

  • 全身像で唾液腺・心筋・肝臓・膀胱が見える場合は、MIBGの正常集積を考える。
  • 右副腎腫瘍の画像で、MIBGらしい正常集積が見える場合は123I-MIBGを選びやすい。
  • I-アドステロール投与7日後という条件があれば、副腎皮質シンチグラフィーと判断する。
  • 選択肢にクッシング症候群、褐色細胞腫、神経芽腫が並ぶ場合は、皮質疾患か髄質疾患かで選ぶ。

今回の画像問題では、右副腎腫瘍の全身像はMIBGの正常集積を手がかりにします。I-アドステロール投与7日後の腹部後面像は、副腎皮質疾患としてクッシング症候群を選ぶ流れです。

11. 間違えやすいポイント

  • アドステロール=副腎皮質。褐色細胞腫や神経芽腫ではなく、クッシング症候群や原発性アルドステロン症を考える。
  • MIBG=副腎髄質・交感神経系。褐色細胞腫、神経芽腫、傍神経節腫が重要。
  • 123I-MIBG=診断で使いやすい、24時間後撮像
  • 131I-MIBG=2日後撮像、半減期が長い、治療との関連もある
  • 131I-アドステロール=7日後撮像。投与1日後ではない。
  • 副腎シンチではヨード制限ではなく甲状腺ブロック
  • 131I-アドステロールは油性製剤なので、急速静注は避ける。

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